産後クライシス(ガルガル期)について考える

usiro産前産後の夫婦関係の変化、特に妻が夫の態度や対応に不満をいだくことで最悪離婚の危機を招くともいわれている産後クライシスの時期。

最近はガルガル期とか言われているらしいですが(多分野生動物のようにガルガルと威嚇しているイメージからと思われ)、実際のところこの時期をどう乗り切ればいいのでしょうか。

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なぜ産後クライシスは発生するのか

そもそもなぜ産後クライシスなんて言葉ができるほど、産前産後は夫婦関係の危機等と言われているのでしょうか。

まず一般的に、産前産後の女性の体はホルモンのバランスが乱高下します。

そのため精神的にも不安定になりやすく、もともとはとても明るいポジティブbな性格の人でさえ、気分が塞いだり、神経質になったりすることもあります。

また、初めての子どもの場合、当然今まで全く経験のない子育てが始まるわけで、不安はいっぱいです。

生活の環境も変わらざるを得ず、色々な変化を受け入れなければいけない時期になります。

さらに、赤ちゃんによってはうまくおっぱいを吸えなかったりして、こまめに授乳が必要になるため、1、2時間おきに授乳する必要があったり、だっこして歩いていないと寝ない・泣く等なかなか妻が休めない状態になる事があります。

授乳はなかなか夫が代わって出来るものではないので、どうしても妻が一手に赤ちゃんのお世話を引き受けている場合が多いですが、この事によって妻は極度の睡眠不足に陥ります。

睡眠不足になればもちろんイライラしたり、精神的にも安定しませんので、産前産後は健康に何も問題がなくても辛い時期といえます。

一方男性側も初めての育児や妻の妻から母への変化等に戸惑いを感じています。

子どもができた事への責任感から一層仕事を頑張らなければと思う事もあるでしょう。

それまでとは全く違うフォローを必要とする妻に対して、どう接したらいいのかわからない状況に途方にくれてしまう事もあります。

夫婦の生活から子どもがいる生活へと生活がガラリと変わる時期だからこそ、お互いへの不信感が募りやすい時期が産後クライシスの時期といえます。

実際妻はどういう状態なの?

よく、産前産後の妻は野生動物なので手厚く保護しましょう。

などと某掲示板に書かれていたりしますが、実際はどのような状況なのか詳しく見てみましょう。

出産後は1ヶ月ほど悪露(おろ)と呼ばれる出血が続きます。

普通産後1ヶ月程度は家事等もあまりせず、赤ちゃんのお世話に専念するようにと言われていますが、この時期に無理をするとあとあとになってから色々な所に影響が出てくると言われています。

出産の体への負担は1年から2年ほど続くと言われており、内蔵等色々な器官にダメージがあります。

それに加えて前述した寝不足や育児への不安、赤ちゃんのお世話による寝不足等、精神的にも身体的にも辛い日々が続きます。

実際私自身も出産後3ヶ月程はほとんど毎日徹夜に近く、とぎれとぎれの睡眠と抱っこしていないと寝ない言葉の通じない赤ちゃんとの密室での生活でげっそりやつれていました。

尿蛋白が出たり、視力がガタ落ちだったり(その後回復しました)目に見えて憔悴していたなあというのが感想です。

夫の状況に置き換えて例えるならば

この状況がピンと来ないと言う人のために、夫の身に置き換えて考えてみましょう。

あなたは全治1年の重症を負って、体中ボロボロ。1ヶ月は出血が止まらず絶対安静。ただし、外から見ると日常生活は問題なく送れる状況とみなされています。

また、服用せざるを得ない痛み止めの副作用で精神的に辛い気持ちになったり不安になったりしやすくなっています。

そんな状態の中、初めてで、やり方もおぼつかないがどうしても断れない大切な仕事があり、夜中の呼び出しにも必ず応える必要があります。

常に気を張って、そのクライアントの状況を正確に見極めなければ命に関わるほどの責任を伴う仕事です。

睡眠時間は削られ、ゆっくり体を休める時間もありません。

休日・休み時間無し。睡眠は細切れで2時間寝れればかなり寝れた方。

そんな時期が少なくとも2.3ヶ月続くことがわかっています。

・・・そんな時、妻にしてほしい事は何でしょう。

ちなみに妻にもこの仕事には責任があり、自分の代わりに仕事をすることも可能です。

当然そんな状態で家事をするのはかなり大変ですので、家の事はこの時だけは共働きだろうと妻にお願いするしかない。と普通は思いませんか?

寝る時間や体を休める時間をほんの少しでいいから捻出するのに協力して欲しいと普通は思うと思います。

そういう状況だというのに、妻があなたに、家にいるのに家事はできないの?ご飯はまだ?洗濯物が溜まっているよ!その仕事の仕方で大丈夫なの?私は仕事で疲れてるからそっちの仕事は出来ないの。と言ってくるとしたらどうでしょう。

この状況を見てくれよ!大変なのがわかるだろ!?と言いたくなりませんか?

産後の妻の状態はこのような感じだと思えば、産後に夫が何をすればいいのかが少し見えてくると思います。

言ってはいけない禁句/その時妻が思っている事

・ごはんまだ?

=出来なさそうなのは見てわかるでしょう。自分で作るか何か買ってきてください。

・毎日寝てばかりだね

=あなたが見ていない所で起きています。夜中何度も授乳で起こされて細切れに寝るというのはかなり心身ともに疲れます。寝させろ!

・俺の靴下(シャツその他なんでも)どこ?

=こっちはあなたのような大きな子どもの世話をしている暇はない。自分で探してください。むしろなぜそんなことも知らないのか。

・泣いたらお母さんじゃなきゃ泣きやまないじゃん。自分が見てる意味あるの?自分じゃうまく出来ない。

=トイレ・風呂・料理中その他ほんの少しだけでも自由な時間をください。

というか、経験は積まなきゃレベルアップしないんだよ!?

・(夜泣きや泣き声に対して)うるさいなあ

=人としてどうかと思います。赤ちゃんが泣くのはどうしようもない事。むしろ泣きやませる手伝いもしないでなぜそんなことを言えるのか。

・部屋が汚い(洗濯が溜まっている等)

=そこまで手がまわらないのは見ていてわかるでしょう。なぜ少しは自分でしようと思わないのか。睡眠不足の中、家事に多く手を回せるほどの体力も回復していません。

・赤ちゃんのお世話ばっかりで俺のことを見てくれない

=大人になれ!お前は親になったんだ!!

ざっとこんな所でしょうか。もちろん夫のほうにも言い分はあります。

夫側の困惑

そもそも、親になる自覚を持つタイミングというのが夫と妻ではかなり違うと言われています。

女性側は妊娠が判明した時から出産までの間に9ヶ月程時間がありますし、日々大きくなるお腹や胎動を感じることで自然と出産時には我が子への愛情や親としての自覚ができている場合がほとんどです。

ところが男性側は出産で子どもを初めて見た時でさえ、まだどこか他人ごとでどうしたらいいかわからないと言う場合も多いのです。

日々のお世話も、一般的には女性のほうが赤ちゃんと接する時間が多く、授乳等、母親にしか出来ない事も沢山あります。

また、赤ちゃん自体も今まで慣れ親しんだ鼓動のある母親のほうが安心するとも言われており、泣いて抱っこしても父親では泣き止まないという場合も良くあります。

そのため、スタートは一緒でも、子育てレベルは日々着々と差がついて来てしまいます。

この時、ちょっとリードしているお母さんはお父さんのやり方を見て、もっとこうしろああしろと言ってしまいがちです。

そして、あなたがやるより私がやるほうが早いからとお世話を取り上げられてしまう事もあります。

また、女性に比べて男性は状況を予測して複数の事を同時進行出来るようにはなかなか出来ていません。

なので、言われないとなかなか状況に気づかないという事も良くあります。

この流れなら次にアレが必要ってわかるでしょ!という女性側の感覚は通用しないのです。

それを言葉で言ってもらえばもちろんやってくれる男性がほとんどですが、女性は早々に諦めてしまって、男性側が育児の疎外感を感じるということもあります。

私の希望を察してよ!という女性ほど面倒くさいものはありません。

夫はエスパーではないのです。

また、女性側からはとてもわがままに見える事ですが、今まで自分と二人きりだった妻が子どもの世話に必死になっている姿を見て、子どもに妻を取られたような気持ちになって嫉妬したり寂しい気持ちになったりする男性も少なからずいます。

産後クライシスの乗り越え方は?

男性側

見た目よりも妻がずっと出産と育児のダメージを受けている事を認識すること

平気そうに見えても心身ともに疲れ果てている状態であることを十分認識して、妻がなかなか思うように動けない事を意識しましょう。

家事を請け負う・出来ない事を指摘しない等いたわる姿勢を見せることが大切です。

自分のことは自分でする

当たり前のことですが、夫婦ふたりだけの時代に甘えてしまっていた場合は気を引き締めて自分のことは自分でして、妻の負担を軽くするようにしてください。

・少しずつでも育児に参加する

たとえばどうしても泣きやまないのに意地になって赤ちゃんを抱き続けるとか、妻の迷惑にならない範囲で(ぐずった直後にお母さんが抱っこすればすぐ寝そうだったのに、無理にお父さんが抱っこしたことによって2時間泣き続けるとか・・・そうなったら睡眠時間が削られるので、本当にやめて欲しいです)少しずつ育児レベルをアップさせて行きましょう。

うんちの処理はだめーとかいつまでも言ってちゃダメです。

女性側

・夫に状況や要望を察して欲しいと思わない事。

要望はこまめに伝えてどんどんやってもらいましょう。

男性は本当にやるべきことに気づいていない可能性が高いからです。

少しは自分で考えて!と言う捨て台詞を言う女性がいますが、ほとんどの男性は途方にくれてしまいますし、自分で考えて行動した結果が女性側の求めていた答えだという可能性はとても低いでしょう。

そういったスレ違いでイライラするよりも、言葉でどんどん伝えていった方がお互いイライラせずにすみます。

・1人で抱え込まない

体が辛い時、赤ちゃんのお世話が思った以上に辛い時、あまり無理をすると産後うつになったり、虐待に走ったり、子どもにいいことは何もありません。

夫が仕事でなかなか家にいない場合や、預けられる実家が無い・遠い等の場合でも、公的期間やベビーシッタ―など、一時的に預かってもらったり相談出来る所は探せばあります。

産後の辛い時期に人に頼る事は当然のことと思って、負担を1人で抱え込まないようにしてください。

・男性側にもいたわりを

育児では一般的に女性に負荷がかかる事が多いので、被害者のような気分になってしまう事がありますが、男性側も慣れない育児や家事に戸惑っているということを良く認識して、いたわる優しさを忘れないようにしましょう。

当然ですが、やってもらったことは当たり前ではなく、「ありがとう」「助かる」等の感謝の言葉も忘れずに伝えましょう。

最後に

産後クライシスを乗り越えるために一番大切な事は夫婦でお互いいたわり合ってこの大変な時期を乗り切ろうという気持ちです。

相手が悪いと言っているだけではこの時期は乗り越えられません。

コミュニケーションをよくとって、相手が少しでも楽にいられるように考えるだけでもクライシスは避けられます。

この時期をお互い助けあって乗り越えられれば、強固な夫婦関係を築いて行けることでしょう。

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